「家にいたい」その願いを、私たちは支えたい
こんにちは。代表・管理者の関川です。
先日、当ステーションでA様をご自宅にてお看取りする機会をいただきました。
出会いは昨年末のこと。
「もう入院は嫌だ」と強い思いをもって退院され、ご自宅での生活を再スタートされたのが始まりです。
私たちは訪問看護として点滴から支援を始め、A様が少しずつ体力を取り戻していく様子を見守ってきました。
奥様と息子様のあたたかなサポートのもと、A様は穏やかな時間を重ねられていましたが、4月ごろから少しずつ食事が摂れなくなっていきました。
その頃から、ケアマネジャー様、奥様、そして私たちの間で「今後の過ごし方」について話し合う機会が増えていきました。
A様は「もう入院だけはしたくない」と、何度も繰り返しお話しされていました。
その想いを受け止めた奥様も、「最期まで家にいさせてあげたい」と、強い気持ちを抱いていらっしゃいました。
私たちも、その願いが叶うように、できる限りのサポートをさせていただきました。
お風呂が大好きだったA様。
訪問看護師による入浴介助の日をとても楽しみにされていました。
体調が変化し、入浴が難しくなったあとは清拭(体拭き)へと切り替わりましたが、それでもA様は私たちの声かけに笑顔で応えてくださいました。
「体調、つらくないですか?」と尋ねると、
「大丈夫だ、なんともない」と、低い声でいつも力強く返してくださった姿が心に残っています。
最後まで、本当に強く、かっこいいA様でした。
最期の訪問の際、奥様は涙をこらえながらこうおっしゃいました。
「父ちゃん、私がちょっと出かけてるときに、一人で誰も知らない場所に行っちゃったよ。」
私はその言葉に涙をこらえながら、こうお返ししました。
「きっと違うよ。痛くても、つらくても、弱音を吐かなかった父ちゃんだから、母ちゃんに心配かけたくなかったんだよ。最後までかっこいい父ちゃんだったね。」と。
旅立ちの前には、A様に少しお化粧を施し、かっこいい浴衣にお着替えいただきました。
まるで「これから大洗に寿司でも食いに行ってくるよ」と言っているかのようなお姿でした。
お着替えのあと、奥様と一緒に父ちゃんのお顔を見たとき、奥様がぽつりとおっしゃいました。
「関川さん、私後悔してないよ。最期まで家で父ちゃんを看ることができた。たきびさんにいっぱい世話になっちゃったけど……本当にありがとうございました。」
この言葉を聞いたとき、胸が熱くなりました。
ご自宅で、日に日に弱っていく最愛の方を見守るというのは、言葉では言い表せないほどの不安やプレッシャーが伴うことと思います。
それでも奥様は、父ちゃんの願いに寄り添い、「家で看る」という覚悟を貫かれました。
その道のりの中で、私たち「たきび」がほんの少しでもその不安や負担を分かち合うことができたのであれば、看護師としてこれ以上の喜びはありません。
奥様のあの言葉に、私たち自身が救われたように思います。
A様、本当にお疲れさまでした
A様、本当にお疲れさまでした。
最後までかっこよかったです。
大好きだったお風呂やお寿司、これからは思う存分楽しんでくださいね。
そして、母ちゃんや息子さんのことを、これからも見守ってあげてください。
私たちたきび職員一同は、ご家族と共にA様の最期を見届けさせていただけたことを、心より感謝いたします。
改めて、A様のご冥福をお祈り申し上げます。
🕯️訪問看護ステーションたきびより
ご家族の思いに寄り添いながら、利用者様が最期の時を穏やかに迎えられるよう、これからも一つひとつのケアを丁寧に行ってまいります。
メンタル面のサポートはもちろんのこと、お身体のケアやお看取りまでを含めたトータルサポートができるステーションを目指し、今後も誠実に歩んでまいります。